数日前に「ベトナムの風に吹かれて」という映画をみた。
松坂慶子主演。
ちょっとしか登場しないが、松坂の兄嫁として松金よね子が出ている。
あらすじは、
ベトナムで日本語教師をしている松坂慶子は父の葬儀のために故郷新潟に行く。
そこには認知症の母がいる。そして、松坂は母をベトナムへ引き取り、あれやこれやが起きる。
というもの。
一応、ジャンルはコメディとなっている。
たしかに笑える部分も多いし、明るい雰囲気なのだが、エピソードは微妙に(時に深刻に)考えさせられるものもある。
劇中での松坂たちの年齢は61歳。かつて全共闘の闘士だった。
で、彼らが日本で失敗して(これは必ずしも金銭的社会的な失敗ではなく、心のというか、若い時の革命に対する理想が叶わなかった。さらには2015年ころの現代日本に適応していない気分という意味で)ベトナムにいる。
ベトナムはベトナム戦争後でドイモイ政策のあとで、と、後進国が内戦をへて復興発展をした国である。しかも、全共闘の主人公たちからすれば理想であった共産主義国家で。という、無自覚の上から目線ではあるものの、ベトナムを優しく感じながら(無意識に)自分たちも癒されている。
認知症の介護、残留日本兵、ほんの少しだけ触れていたが日本に来たベトナム人労働者に対する差別問題、松坂の兄夫婦のように年を取ってからの駅前など都会への転居、日本人コミュニティのありかたなど、扱われている(触れている)テーマは幅広く、上記の通り深刻でもある。
が、どれも深刻には感じられない。
それは、もちろんそうならないように物語がつくられているというのもあるが、原作がエッセイということも関係しているかもしれない。
エッセイにフィクションを混ぜてつくったらしい。
また、全共闘世代の無責任体質(無意味に前向きで、責任をとらない感じ)も関係しているような気もする。
2015年の作品だが、作品中の年はいつなのだろう。
2005年前後が舞台か、、、?