映画祭り開催 5本上映

映画「西太后」三部作を観た。

第一部は入内から円明園炎上まで。

第二部は熱河の避暑山荘での話。咸豊帝の死と辛酉政変後、西太后が権力を握るまで。粛順ら八人の重臣の処刑、麗妃の人彘化までが描かれる。

西太后は同治帝即位後、西太后の残虐な独裁制が行われるさまを描く。同治帝の寵した桂連を遊女に堕とす。同治帝の皇后を胎児ごと殺害する。しかも皇后を吊るしてから墜落させる方法で。また野史に書いてあるという字幕で東太后を毒殺したことをほのめかす。

正直史劇と思ってはいけない。西太后の悪評をすべて詰め込んで、あくまでその背景として(悪評を否定しない限りは)史実を布いた映画だ。現在では否定されていることもきちんとすべて盛り込んでいる。もう怪しいことは西太后のせい、という感じだ。

各作品ともノーカット版とはいえ、それぞれ約90分であり、たいして長くない。第二部と続はともかく、第一部にいたってはドラマ性もあまりない。なにより、途中で皇帝たちは熱河に避難してしまい、円明園での英仏軍の暴虐な行いには主人公である西太后や皇帝たちは直接関わらない。あげくに第二部の冒頭で熱河での狩りの様子をまるで平和というもの云々とか描かれる始末。

しかし、不思議な魅力がある。もちろん映像的な、、、、何というか迫力もある。いや、こう何だろう、説明しづらい。

たとえば、一番わかりやすいのは第二部の重臣処刑と麗妃の人彘だ。スプラッタでもないがグロい。しかし、なにか心に残る。麗妃にいたっては綺麗ですらある。下手な幽霊よりも恐い。だが、観たくなる。

西太后は意外な収穫があった。一つは桂連役で鞏俐(コン・リー)が出演していた。なるほどキレイだ。後の覇王別姫での菊仙を思うとまた格別だ。また、同じく桂連が遊女になって金払いの悪い客をののしるシーンがある。「マーラカピー」という感じの発音でののしっている。これが個人的にこの映画とは関係なく、ずっとひっかかっていたフレーズだった。ヤフー知恵袋でもまさに続西太后のこのセリフはなんですか?という質問があって知ることができた。

観終わって、しかし疑問もある。これらの作品が90年以前の公開だ。その後、西太后の功罪は少し整理されてきたが、なぜ彼女はあれほど悪者にされたのだろうか。どう悪いことはすべて西太后に、という感じの描かれ方だ。

また、この記事を入力しながら西太后は「せいたいごう」では出なくて「せいたいこう」で出てきた。不思議だ。

 

他にはファイナルデスティネーションとドラゴン・ガールを観た。

ファイナルデスティネーションは面白かった。軽いホラーとしても良いし、なによりお化けやらが出てこないという点も評価が高い。かといってすぐに人間が一番怖い、みたいなサスペンスホラーではない。

ドラゴン・ガールは、、、、個人的にダメだった。

理由はいくつかあるが、まず外国(ブルネイかマレーシア)の事情がよくわからない。そしてストーリーに穴がありすぎる。

シラットの師匠を探す段で、国立図書館の蔵書で探すのはまだしも、DATUK RAJANAN HITAM(字幕は、闇の武術家)あたりはもう笑ってしまう。しかも闇の武術家に会えるし。

あと、青春ものという側面や父がシラットを反対していた理由、(闇じゃない)師匠と父との因縁など盛り込み過ぎかつご都合主義が過ぎる。

あとは、インドネシア語ではないから、発音や用語が微妙に違うこと。この微妙に、というのがダメだった。そしてブルネイだかマレーシアだかではそうなのか、やたらと英語が入ってくる。フレーズとしても単語としてもだ。まるでルー大柴状態。聞いていてくらくらしてきた。