サユリ

押切蓮介「サユリ 完全版」

本屋で見かけて、今は節約しなくちゃとか思いながらも、どうしても気になり買ってしまった。

前半非常に恐かった。深夜に読んでいたせいでもあるが、本当に1話1話寒気がした。

初期の呪怨シリーズのように、恐い、もうみたくない、でも先が気になる、という感じで頁をめくる指が止まらなかった。

そういえば、呪怨も本作もどちらも、中古住宅を買ったら、その家に取り憑いている怨霊に殺されていく話だ。

後半のババア無双(あとがきの用語)は、多少無理があるが、ものすごくワクワクしながら読めた。

また、ばあさんの則雄への指示というか、教育というかには、どれも当たり前のことなのに、ストーリーの流れ上すんなりと腑に落ちた。なんなら今すぐ部屋の掃除をして、明日からジョギングをしようと思うほどに。

家族の遺体が次々と帰ってくるときに、住田さんは返されないのか心配で心配でたまらなかった。そして殺されたみんながサユリ(小百合)を連れて行ったとき、サユリはこれからどうなるんだろうという気持ちと、住田さんはやはりダメなのかという不安で一杯だった。

もちろん、住田さんは助かった。

一気呵成に読み切ったとき、本当に素晴らしい映画を観た時と同じように、この作品に会えた喜びと、読み終えてしまった疲れと喜びと寂しさ(例えば、定期演奏会のために数か月も準備してきて、定演当日に終わったときの疲労感と、明日からもう練習しなくていいんだという喜び、寂しさ)がないまぜになっていた。

本屋で気になったのは間違いではなかった。