六十四卦三百八十四爻

易経本文(六十四卦三百八十四爻)を読み終える。

占いの書としてはオーソドックスなもので、得られた卦辞や爻辞のシチュエーションを占う対象に当てはまるように読み替えていく。

たとえば、未済九四では鬼方との戦争を、困難な事業に読み替える。

タロットなど他の占いでも、程度の差はあれ占い方は似たようなものであろう。

各卦辞爻辞はそれぞれ物語になっている。整合性がとれていないものもあるが。

なので、占いの書や人生訓の書として読む読み方以外にも、短編物語集として読むこともできるのではないかと思う。

昨今の易経に関する本は、この物語の部分を寓話として利用し安っぽいビジネス書に仕立て上げている。

 

読み通して感じたのは、日本語の中に、たとえば人名や元号、そのほか熟語として、易経の文は多く採られていることだ。

元号としては臨卦の彖伝「大亨以正天之道也」が大正の由来となっている。また、同じく臨卦から咸臨の語が幕末の軍艦咸臨丸の名に採用されている。

若くもない今なら、そして丁寧な解説書があればこそ楽しく納得しながら読むことができた。私が読んだのは朝日文庫の中国古典選、本田済、易である。この本の特徴は別に書きたい。この本でなければいまだに易経の面白さは分からないままであっただろう。

十翼のうち、彖伝と象伝そして文言伝は本文と合わせて読んだ。次は残りの繋辞伝、説卦伝、序卦伝、雑卦伝を読もう。といっても序卦伝は読んだようなものだが。