930事件から311政変までを述べた本。
平たくいうと、スカルノ大統領からスハルト大統領にかわるきっかけであり、インドネシアで共産党(共産主義)が弾圧・虐殺された原因となった事件の話だ。
今でも共産主義はご法度だ。
とても分かりやすく書かれていた。
インドネシア人の人名や略語、そもそもの情勢の複雑さなど読みにくいところはあるが、それは文章を丁寧に読めば問題ない。
あえてケチをつけるなら、
帯の中央に「謎多き 大量殺戮 の真相」と大書きされ(縦書き、空白は改行をあらわす)、右下に横書きで「事件はどのように起こり、 なぜ黙殺されたのかーー。 戦後アジア史の闇に迫る」とある(空白は改行)。
この謎を宣伝文句に使うなら、本文中でここが謎ですよ、あるいは謎の答えはこれですよ、謎が解けた過程はこうですよなどと指し示してもよかったのではないか。
よく新書で何冊かシリーズものにすることがある。
たとえば講談社現代新書の「新書中国史」や岩波新書の「シリーズ中国の歴史」などがある。
中公新書でも「物語〇〇の歴史」がシリーズ化しているといえば言えるが、戦後アジア史のシリーズをつくってほしい。
開発独裁の時代なんて、今こそ読みたい。