スーサイド・ライブ

朝も早よからスーサイド・ライブをみた。

 

生放送の番組中に出演者が他の出演者を殺し、自身も自殺してしまう。

この番組の司会者が、自殺生中継番組の司会者となる。

というのがストーリー。

 

パッケージや予告では、自殺を完全にショー化して生命の尊厳などを気にしない、良心のない司会者のように思わせているが、冒頭ではむしろ生命の重さを知るために、自殺番組の司会を、悩んだ末に引き受けている。

ちなみに、自殺番組の企画はプロデューサーのイラナが提案している。

物語の軸は3本あって、1つが司会者のアダムなどテレビ局関係者。

1つが、薬物中毒から立ち直って病院で看護師をしているアダムの妹、カリーナ。

そして、1つが仕事を失い、家(というか生活全般)を失う寸前のメイスン。

 

テレビ局関係者のところは悪くなかった。急ではあるが、生命の重さを尊重していたアダムが、無意識に視聴率のためにただショッキングな死を放送したくなっていくところは良かった。作中で明確にアダムの手段と目的が入れ替わったのは自動車のなかでガス自殺をしようとした女を、ステージ裏で殺したとき、なのだろうが描き方がいささか性急で、むしろ最初のころ生命は大事と思っていたアダムの方が、番組中に殺人と自殺が起きたショックで錯乱していたのかとも思う。また、観客が単純に自殺をみたいという乱暴な客にかわっていったことも或いはその一因か。予想されるだろうけど。

カリーナは元薬物中毒で10万ドルの借金があり、生活費は兄のアダムが渡している。兄妹仲はよい。看護師として小児がんの子供の担当をしている。この患者の母親からひどくののしられ、自身は兄アダムに自殺番組なんぞをするなとののしってしまう。アダムはののしられたことを番組で話してしまい、心労からまた薬物摂取をしてしまい、病院も解雇される。最後は自殺番組にでて、アダムの前で自殺してしまう。

メイスンは先に書いた通り、生活が破綻寸前である。自殺番組に出るが、ステージ上で泣きがはいり、自殺をやめてしまう。

 

約100分で悪くない作品だったが、もっと振り切って自殺をショー化するなり、逆説的に生命は尊重すべきとすればよかったような気がする。

生命の偉大さを語るのがカリーナとメイスンで、対するのはテレビ局側だけだから、ちょいちょい興がさめてしまった。

メイスンが自殺をやめたときに、観客が感動してスタンディングオベーションしていたが、直前まで、死ね!! などとコールしていた連中が果たしてそんなことをするものか。

またプロデューサーのシルヴィアが、こう、何というかテレビ局側の良心です、みたいな動きをするのだが、しゃらくさい!! というよりも、私も悪事に加担はしていますが、嫌々でしたし最後のところはわきまえていますという役どころに、個人的に一番腹が立った。

ラストは、余韻をもたせたと言えなくもないが、尻切れトンボというか、え?これで終わり?感がスゴイ。ただ映画自体は自殺を茶化した人物には相応の罰を与えましたよ、というメッセージみたいで苦笑してしまう。

ボーっと見るにはドラマ性があるし、しっかり見るには微妙な感じ。

自殺者のなかにイチローというのがいて、ハラキリで死んでいた。介錯はしていなかったが本当に死んだのだろうか?(笑)