欧米人はどうして安易に戦争でゆがんだ設定にするのだろう

ハンニバル・ライジングを観た。

以前劇場でみた時ほどつまらなくはない。

しかしガッカリ感はやはり残った。

 

ハンニバル・レクターという人物がいかにして出来上がったかの答えとなる作品である。そここそが良くないのではないか。

羊たちの沈黙ハンニバルレッドドラゴンではハンニバルは猟奇的で異常に頭が良かったり食人嗜好があったりするが、一番の特徴は良心のなさ、少なくとも世間的な善悪と彼の善悪は折り合っていないところ、であろう。

しかるに、ライジングで妹を、文字通り食べられたことで彼の精神は死んでしまったということが判明する。

もちろんこれは納得できる。

しかし、ライジングでは妹を食べた連中に復讐する話だ。これはハンニバルの良心のなさ、サイコパスなところとは、ある意味で矛盾する。

そこに違和感を感じる。

そういう復讐譚の主人公、あえて言えば復讐により人格もゆがみ殺人自体に快楽をおぼえ、食人嗜癖も身につけていくダーク・ヒーローと、ハンニバル・レクターが合わないのだ。

 

だから上記のような復讐ヒーローの映画としては、面白かったともいえるが、ハンニバルシリーズとしてはつまらなかった、というかそぐわなかった。

日本人のムラサキ夫人の役をコン・リー(鞏俐)が演じているのも微妙に違和感がある。まあでもコン・リーの存在感はやはりすごかった。