「中国文学雑談 吉川幸次郎対談集」、石川淳との対談に吉川の発言として、
中国では字引の学問はあんまり発展しないで、書斎に字引をおくことを恥としていたんです。ところが、注釈の書物は非常に発展したんですね。一字一字、書かれた言語をパラフレーズしていく。それはすばらしく発展したんです。
とある。
典拠が知りたい。しかし、なるほど納得できる。
どういうわけか中国人は辞書をつくるのが下手くそだ。かわりにカタログ(網羅的に並べたもの)をつくるのは上手である。
対して日本人は逆に辞書づくりが上手で、カタログづくりが下手だ。
不思議であったが、吉川幸次郎の言が真実であれば、その理由となろう。
字引的な注釈もないわけではないが。
なにより注釈を集めた集解などは、要は注釈のカタログだ。
しかし何があったのか、近年、漢語大詞典だったか大辞海だったか出来のいい辞書が中国にもでているようだ。