ウルツサハリ

岩村忍の耶律楚材を読み終えた。

生活社刊のため、造本が模糊集に似ていることは昨日述べた。ページ数は123頁。

題字と序は安岡正篤が書いている。

内容は、小説ではないので少し乾燥しているが、年譜に説明文を付けた感じ。

正直そこまで面白いものではない。なるほどこれでは再刊はされないであろう。

美点は、楚材に限らず、その先祖と息子、孫にも筆が及んでいること。

参考文献(徴引書目)がついていること。

である。

逆に惜しい点は目次の項目が壹、貮、などと番号だけであって、その項目の内容が分からないこと。せめて參 明昌元年~興定二年(チンギス汗十三年)などとすれば多少よかったかも。

耶律楚材についてこの小著(人の作品ではあるが)以外には陳舜臣の小説、杉山正明の非難書以外に一般書がないことにあらためて驚きを禁じ得ない。

専門書を入れても、飯田利行の三冊、と明徳出版社からでている耶律楚材文集の合計四冊か。

しかもこの岩村忍のものは絶版(昭和十九年刊行)なのでもう図書館でしか読めないとなると、、。

耶律楚材がマイナーなのは寂しい。