Yahoo ニュースに「江戸しぐさ」に関する記事があった。
内容は衝撃的なものだ。
以下、要約する。
小学校高学年の道徳の教科書に「江戸しぐさ」が掲載されている。
ところがこの「江戸しぐさ」は存在が史料などから確認されないものである。
にもかかわらず文科省が作った小学校高学年の道徳教材「私たちの道徳」には「江戸しぐさ」が歴史的事実として紹介されている。
そのことについて、文科省の役人は「「批判があることは知っているが、見直しする必要はない」と明言した。
それから「江戸しぐさ」とはどういうものか説明が続き、「江戸しぐさ」が創作物であること、また「江戸しぐさ」普及者たちの言い分として明治政府による江戸っ子狩りと国家総動員法によって隠れ江戸っ子(ニュースの用語そのまま)が戦争に行って帰ってこなかったから80年代まで知られなかったということが書いてある。
そして文科省に質問をしている。答えるのは文科省の担当係長だ。
以下記事を引用する。
こうした状況の中、改訂作業を進めるも、差し替えなかったのが文科省だ。ここまで批判が強い、江戸しぐさをなぜ残すのか。担当する教育課程課に聞いてみた。
――江戸しぐさには批判も強い。なんでわざわざ取り上げるのでしょうか?
担当係長「時と場をわきまえて、礼儀ただしく真心をもって接することを考える教材として取り上げています」
――江戸しぐさ自体が創作物だという批判がありますが。
「批判があることは知っていますが、今回の改訂では教材に追加する部分を議論しています。基本的に、既存部分はそれまでと変えていません」
――教材を読むと、江戸しぐさそのものが事実であるとしか読めないように描かれています。批判があることを知っているなら、このような書き方をすべきではないのでは?
「道徳の教材は江戸しぐさの真偽を教えるものではない。正しいか間違っているかではなく、礼儀について考えてもらうのが趣旨だ」
――見直すべきではないでしょうか?
「既存の部分は見直す必要がないと判断している」
――事実でない教材で、礼節を教えるのは根本的にダメなのではないでしょうか。
「繰り返しになるが、道徳の時間は江戸しぐさの真偽を教える時間ではない」
原田さんに文科省の主張をどう思うか、聞いてみた。
「詭弁に過ぎないですね。礼儀や道徳を教えたいのなら、そこに嘘が混ざってはいけない。存在しないものを、あったと嘘をつく人に礼儀を説かれることが、果たして道徳なのでしょうか。あったと嘘をつかないと成立しない教材から、礼儀は学べないと思います」
引用おわり。
ひどすぎる。記事の最後にも書いてあるが、道徳を教えるのに嘘を使ってどうするのか。
譲れないラインを譲ったとしても、「江戸しぐさ」などは
自分のことだけでなく、相手やみんなのことも考えて行動しましょう。
の一文で終わるはなしだ。シチュエーションなどはともかくとしても、わざわざ「江戸しぐさ」などという怪しげなものを使わないと説明できないものではない。
更に江戸っ子大虐殺だの隠れ江戸っ子だのという粗雑な陰謀論を唱えていることもよろしくない。
引用で記事が長くなったことと、あまりに腹立ちと呆れがきてしまったので、続きはまた今度。