小心有毒蛇于欄干

蘭陵王のDVD4枚目を観ていたら、面白い場面があった。

宇文邕(北周武帝)が宇文神挙と揚雪舞(天女)を伴って兵の前で檄をとばしていた。そのとき宇文邕は船の欄干に手をかけている。すると、毒蛇が現われ、宇文邕の手を噛んだ。そして揚雪舞が毒を吸い出す。

その後の展開はおく。

この毒蛇に皇帝の手が噛まれる場面から想起したのは、中山世鑑巻二に載っている察度の話だ。

 察度王も即位してから長い年月が経つと、驕奢の心が出て来るようになり、高さ数十丈の高楼を作り遊観するようになっていた。この高楼に登るといつも、この楼上にいれば毒蛇の恐れはないものだと戯言を言っていた。天道もその驕りを懲らしめようとしたのか、ある夜楼上に察度がいるとき、察度の左手が毒蛇に咬まれた。その傷痕は次第にひどくなり、ついに察度は左腕を切りおとした。
 ある近臣が言うには、君主として片手が無くてはどうやって朝観や会同の礼、天神地祇の祭礼を遂行すればよいのか。恐れ多いことだが、私(近臣)の手を(察度)王に差し上げよう。と彼自身の手を肘から切りおとし、察度王の手にさし合わせ治療をした。そうしたら、近臣の腕は察度の腕としてつながった。そういう次第で察度王の左腕は色が黒く毛が生えており、左腕以外の肌とは違う様子である。まことに不思議なことだ。

 その察度王の姿を描いた絵は近年まで末吉の万寿寺にあったが、明の万暦38年庚戌9月22日、失火のために失われてしまった。

うん、毒蛇と行いには気を付けよう。