安倍元首相銃撃事件で思ったこと その2 奈良県警、失態・不祥事の連鎖

まず、奈良県警警備体制(要人警護)に対して、批判が殺到している。

たしかに動画などで確認すると、安倍の後方を警戒している警官やSPは(目視できる限りは)一人もなく、後方を向いている(つまり安倍と背中合わせになっている)者もいなかった。

演説についても、いわゆる選挙カーに登る方式ではなく、演台に立った形式になっていた。これは選挙カーに立つよりも聴衆との距離が近くなる。その方がいいとする候補者もいるだろうが、こと警護の観点でいえば、すなわち候補者に危害を加えやすいということだ。

そして、最初の発砲後、安倍はともかく警護の者たちも固まっていて動いている様子が見られない。そして、安倍が撃たれたあとは、(おそらく)警護担当全員で犯人にタックルして捕まえている。結果的に単独犯行だからいいが、もし複数の実行犯がいたらどうなっていたのだろうか。

奈良県警を擁護するとすれば、奈良県での応援演説は予定されていたものではなく、前日に急遽決まったことくらいだろう。

ちなみに、犯人は前日に岡山県での安倍の応援演説にも行っており、警備が厳重だったのでそこでの襲撃は断念していた。

奈良県警に話を戻すと、事件当日の夜の記者会見では、何を質問されても「具体的な回答は差し控えたい」とした中身のなさと、その態度や言い方とでひんしゅくを買った。

その後、10日には奈良署の5階にある特別捜査本部の執務室に不審者が侵入した。執務室には数人の刑事がおり、不審者は現行犯逮捕された。安倍晋三暗殺事件に対する電話対応などで忙しく、男の侵入に気づかなかったとしている。

14日には、安倍晋三暗殺事件とは別に、1月に発表した拳銃の実弾5発が行方不明ということについて、行方不明の実弾は署員が盗んだとしていたが、実は点検漏れであり、盗まれたものではなかったこと。さらに署員自身は無実を主張していたが、1週間にわたり連日自白を強要されていたことを発表した。自白を強要され、盗んだとされた署員は現在うつ病を発症し休職している。

 

この一連の失態・不祥事などはどう捉えるべきだろうか。そもそもどんな組織も組織自身を保持しようとする。しかし、普通は組織の保持目的であろうと悪いことをすると警察などによって取り締まられるが、では取り締まる方の警察組織はどうなのだろうか。

 

警察に限らず、広い意味で日本の役所(大小や役割は問わず公務員組織)について思うことはあるが、ここでは措く。

 

つづく