アマゾンレビュー

永田カビの漫画のアマゾンレビューを読んだ。

両極端に賛否両論だった。

しかし、よく読んでみると、ほめるにせよけなすにせよ、あまり内容に即していないものが多い。

作者の言動というか、行動に対しての評価なのだ。

大雑把にまとめると、作者の永田カビは

いわゆるメンヘラで、つねに自分は不幸であると感じている。

(親族も含めて)両親、特に母親から認められたいと思いつつ、こんな連中はクソだと思っている。のみならず、本人たちに「親子でなければアンタみたいな人間なんかとはつきあわない」というような文句も言っている。しかし、入院時などには母親も父親もわりにかいがいしく世話をしてくれている描写もある。

自立(一人暮らしのこと)したいと思いつつ、自立できない(アパートを借りて一人暮らしはしているが、、、)。

何より、1年以上無職でも大丈夫なくらい親のスネは太い。

医者から酒を禁じられたその足で酒を買い、飲む。

などが作品から窺える。また、永田カビのツイッターによると、作品ではさらりと描かれていた母親の入院は、実は開頭手術を伴う重大事で、親戚の会社の役員をさせてもらっていた。つまり、親族一同裕福である。

などということもわかる。

これらの理由で、べた褒めしている人たちもいる。

同じ理由で、けちょんけちょんにけなしている人たちもいる。

重要なことは、どちらの方も作品そのものの批判ではない。

 

しかし、これは自分にとってなじんだ評価方法だ。いや、自分自身はあまり好きな方法ではないが。

それは、つまり、王朝時代の中国(や朝鮮)の文人にたいする評価方法なのだ。

李白は作品は素晴らしいが奔放な人間性がよろしくないから、杜甫に劣る。だいたい偽の官軍に参加するような謀叛者だし。むしろ、忠孝が薄く、五倫を平気でこえるような精神だから、あんな神秘的な詩になるんだ、なんてほめてるのかなんだかわからない評価がされている。

杜甫も、李白をおさえて堂々の漢詩人の最も優れた者だ。なぜかというと、官を辞しても常に唐朝に忠誠をつくした実直居士だから。なんて、作品の内容がない賛辞は晩唐から清代まで山ほどある。

つまり、作者の思想・行動などの評価であり、作品の内容は実は評価していない。

 

まさか、それを令和の日本で、しかも漫画作品の評価で目にするとは思わなんだ。