年末に買っていて未読だった新フォーチュン・クエストⅡ9を読んだ。
いつも通りと言えばいつも通りだが、徐々に終焉に向けて物語が動いてもいる。
あとがきで著者が触れていたが、フォーチュン・クエストは平成元年に第1巻が刊行されている。
もはや30年にもわたる間続々とシリーズが刊行されている。
フォーチュン・クエストと銘打ってあるものだけで44冊。ここにはリプレイなどTRPGは含まない。
デュアン・サークは23冊。青の聖騎士伝説が2冊。
思えば長く読んできた。
ふと、思った。
ほぼ同じ時期(昭和61年)に始まったアルスラーン戦記の方は著者への批判が多いのに、フォーチュン・クエストの方の深沢美潮に対する批判はあまりみかけない。
なぜだろう。
思うに、深沢のほうはコンスタントに刊行しつづけ、しかも物語のトーンというかテンションがあまり変わらない。
対して田中のほうは所々で数年間の休みを取っていた。また、物語のトーンも文章の張りも明らかに変わっている。
このことが二者への評価となってしまったのだろう。
もっとも物語の内容がフォーチュン・クエストはほのぼのとしており(断定はできないものの)キャラクターが死ぬことはなさそうだ。
対してアルスラーン戦記は著者の趣味嗜好というよりも舞台となる世界・時代において人命は軽い。その軽さが主要登場人物に及ぶことも不自然ではない。