恐怖のホスピタル 「切られた」というより「斬られた」

麻酔が終わり、いよいよ切開だ。

医者が、痛かったら言ってください、という。

これは歯医者でも言われる。

麻酔は効きが良い悪い、速い遅いがあるのだろう。

切開

サクリ

痛い!!

先生、痛いです。

麻酔の痛みなんて、これに比べたらくすぐったいもんだ

サクリ

痛い!! 痛い!!

ギャー 先生、痛いです。

叫んでしまった。見えないから余計に痛いのか、見えるよりはマシなのか

とにかく医者の手は止まらない。返事もない。

聞こえていないわけがない。

二度ほど叫んでもう諦めた。

いや、諦めたとかではなく、全ての精神力を傾注しなければ耐えられない。

冷静に考えれば麻酔が全く効いてなければ、そもそも耐えられないと思うが、そんなことに回る頭は当然ない。

頭の中には関羽井伊直政、井上多聞(のちの井上馨)、大久保利通など歴史上斬られた人物が浮かんでは消える。

今、思い出すと大久保利通など縁起でもないのが数人いた。もちろん気づかない。

キーワードは刃物・斬られた

だけだ。

切開の後処理の時、ぼんやりと

ああ、医療漫画でメスを体にいれるときの擬音語がサクリとかサクッというのは意外と正確なんだなあ

と思っていた。

終わってしまえばあっという間だが、恐かった。

とにかく恐かった。

 

部屋に帰って4時間眠ったら、風邪の兆候は消えていた。