詩仙は赤龍の詩をうたうか。 レッドドラゴンは赤龍にはあらず。

レッドドラゴン(再映画化版)をみた。

トーリーは良くできているし、客がすでに羊たちの沈黙ハンニバルを観ているという前提なのだから世界観にもすんなりと入り込める。

しかしシリアスな世界観だからこそ、ふと緊張が抜ける時があった。

これは観ている自分の責任だ。

 結局シリーズを通して、謎解きのヒントを与え続けるレクター博士は、詰まるところ犯罪者刑事(デカ) 博士は謎解き収監中、ということだろう。

 また、リーバ・マクレーン(盲目の女)を演じたエミリー・ワトソンが知人の女性に似ていて何かげんなりしたり。

 

さて、順当に行けば明日は、ハンニバル・ライジングなのだが、これは以前観てガッカリした記憶がある。しかし、まあ、ハンニバル祭りだから避けても通れない。

 

陳舜臣の絶筆(というか未完)の「天空の詩人 李白」を読んだ。

帯に、加藤徹の解説から

 かつて、これほど李白

 心の内面に踏み込んだ李白論が、

 あったろうか。

とある。 陳舜臣のせいではなく、加藤徹の解説はどれも気持ちが悪い。

解説というよりもおべんちゃらだ。

肝心の内容は、李白の詩を1つないし2つ解説し、少し説明があり、また李白の詩を解説し、というスタイルで進む。

正直、読みづらい。

読みづらい理由は、本文が随筆形式なのだが、1篇ごとに区切られていない。

そこへもって、語る内容も解説する詩の順番も、何かこう基準がわからない。

しいて言えば思い付いた順か。

まるで茶飲み話でもしているような感じだ。もちろんその雰囲気は嫌いではない。しかしこれでは目次もきれないし(事実、目次には 天空の詩人 李白とあるだけ)。

時折入る、詩人の感性で云々みたいな文章は、まあ陳舜臣に限らず伝統といえば伝統だが、そういう先入観はあまり良くない気がする。

 

後半は、陳舜臣漢詩集、澄懐集の甲子篇と乙丑篇の二篇。こちらは各詩毎に目次がきってある。

陳舜臣自身の漢詩及び自注、自訳。これはまあ面白い。

詩の出来はわからない。私自身、詩がわからないから。

 

とはいえ絶筆という意味でも、また自家版として出版されていた澄懐集(存在は知っていた)を読むことができてよかった。

少し頑張って漢詩を読んでみようかな。