雍正王朝を観おわった。
余韻がひかない。
いや、多少ひいている。が、これは映像の取り方というか、切り方というか、余韻が生じにくいせいだ。
雍正帝が吐血する場面で、字幕で死亡をつげ、百官が喪服で集合していくところ、弘曆(日本語字幕では一貫して弘歷)が即位した風に立っている場面から、スターウォーズ的字幕で終了。
字幕が速いのと、まあ、国庫の残高の話なんかぶっちゃけいらんよね、って感じで日本語の字幕は適当に省略していた。
で、あのアーア~アー♫のやたら速いスタッフロールで終り。
最後のDVD9枚目で、ついに十三爺こと胤祥が死んでしまう。
これにはもう涙が止まらない。
胤祥の今までの熱血かつ兄である雍正帝への忠誠ぶり、しかしながら他の兄弟たちへの怒りとともに恕しているところが思い出される。
亡くなったのち、張五哥が胤祥の墓守を志願して、朝廷を下がる場面。
秦順児が泣きながら紙錢を焼いているところに、雍正帝の許可を得て、胤祥のために故郷の歌を唄う場面。
滂沱の涙は雍正帝だけではない、観ている私も流していたのだ。
康熙帝存命中は直情的なイノシシ型熱血漢だったのが、十年もの宗人府での幽閉が効いたのか、後半はバランス感覚に優れた好男子になった。
胤祥が亡くなったらもう物語は一気に終盤だ。
八爺こと允禩(アキナ:犬)(日本語字幕では一貫して胤祀)も最後の最後に亡くなってしまう。
その遺書が読まれるとき、この長いドラマも終わりを迎えるのがはっきりと自覚される。両雄並び立たずというが、太陽には月、天には地があるように、英雄は自分を映す鑑がなくなれば、自己もやがて消えてしまうのだ。
允禩を演じている王絵春が、どうみても三遊亭小遊三なのだが、だんだんとかっこよく見えてくる。
ちなみに雍正帝を演じている唐国強もだんだんと雍正帝の肖像画のやや丸顔な感じに似てくる。
史実と違うことは多くあるのだが、弘昼を殺す必要はあったのだろうか?弘昼は史実では乾隆35年に死んでいる。
そういうことをしていないのに、そういう噂が流れているってことで曽静を教え諭し大義覚迷録を書かせたのではないか。
そして弘暦の期待のされ方、幼い頃の弘暦が康熙帝にパトロ(バアトル)をあげた場面。亡くなる少し前でも康熙帝が弘曆に剣の稽古をつけている場面。雍正帝の可愛がり方。そりゃまあ才能もあったんだろうけど、そりゃ他の皇子もひがんじゃうよな、と思ってしまう。
ともかくも面白かった。
少しだけまた中国語リスニング力があがっている気もした。
普通語を勉強しよう。
台湾故宮で買った、雍正帝の図録をゆっくり眺めよう。