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この感想文には約1時間を費やしました。

映画「僕の大事なコレクション」を観た。

最初は「ハサミを持って突っ走る」のような感じのロードムービーかと思った。

しかし、アウグスティーネの姉がトラキムブロドで登場してから、雰囲気が変わる。

シリアスというか、登場人物たちは過去(歴史とでも書けば格好いいかも)と向き合うことになる。ユダヤ人嫌いの運転手(通訳アレックスの祖父)とて例外ではない。

以下、感想を述べる。

インターネット上の他の人の感想を読むと、前半は楽しく明るくコミカルで、みたいなものが多かったが、自分は先にも書いたように「ハサミを持って突っ走る」のように何か危なっかしい、不気味な感じがした。少なくとも(同じロードムービーである)リトル・ミス・サンシャインとは違った。

トラキムブロドに着いてからの内容は、シリアスなことと、トラキムブロドというユダヤ人の村で虐殺が行われたこと、ジョナサンの祖父サフランは虐殺前に渡米していたことはわかった。しかし、アレックスの祖父がどのように関わったのか、またアウグスティーネの姉とどのような関係にあったのかは推測の域をでない。

恐らくアレックスの祖父の正体はバルクではないか。バルクは村で一番図書館の本を借りていた男だ。

戦前のウクライナの反ユダヤだったころを生きるため、そしてトラキムブロドの生き残りである(つまりそれはユダヤ人であることも意味する)ことを隠すため、ユダヤ人嫌いになったのではないかと思われる。ただし、だとすると、トラキムブロドを知らなかった描写と矛盾するが。そして、自分のそのような生き方を(アウグスティーネの姉、つまり同郷の人の前で)恥じて或いは後悔して自殺したのではないか。

また、そのころのウクライナユダヤ人迫害は、ナチスよりも酷かったというセリフがあるが、トラキムブロドの虐殺はナチスによって行われていた。

まあ、腑に落ちない所や矛盾はあるが、或いは理解不足によるものでもありそうだ。

特に洋画では、人名が覚えられなくなってきた。主要人物というか出ずっぱりの人はいいが、そうでない人はチンプンカンプンだ。この映画では主人公の祖父のサフランをすっかり忘れていたから、ジョナサンが祖父サフランの墓前に立っているシーンで、夢かジョナサンの未来なり死なりの暗示かと思ってしまった。

なにか説明しがたい感動もあるが、演出が少々クドイような気もした。特にジョナサンがウクライナでの旅を終えてアメリカの空港で、ウクライナで出会った人々と対応するような人々を見るところはやりすぎだと思った。

また、未公開シーンは、、、うん、未公開で正解だった。

映画の内容ではないが、ウクライナ語も聞くことができて面白かった。

原作も読んでいない上に、ウクライナの歴史にも詳しくないので、史実的にどこまで信用できる話なのか(たとえば、ウクライナユダヤ人迫害がナチスより厳しかったこと)分からない。

が、佳作ではあった。

ひまわり畑の中、アウグスティーネの姉の白い家につづく一本道の絵画的なことは印象に残る。

そして、ありがちだが、日本語タイトルはひどすぎる。原題の「EVERYTHING IS ILLUMINATED(すべては解明された)」のほうが、アレックスのセリフにも対応しているし、ストーリーにもピタリとはまる。