東洋文庫 玉に瑕

平凡社東洋文庫の存在は非常にありがたい。

岩波文庫講談社学術文庫と同じように商業的にはあまり売れそうもないが、学術的に読んでいなければいけない必読書、古典などを収録してくれている。

しかも東洋文庫の名前の通り、岩波、学術文庫のどちらにも入らないアジアの古典が多いことは本当に重宝している。

しかし不満もある。

大きく2つある。

1つは、テキストの仮名づかいについて。

古文であっても新仮名になっている。これは岩波も、再版もの以外は同様である。

が、これについては今は措く。

もう1つは、振り仮名だについてだ。

同じ用語がページによって振り仮名が違っていることが多すぎる。

たとえば手元の三国史記をパラパラめくっても、毗処を「ひしょ」としているページと「びしょ」としているページがあったり、鄒牟を「すうむ」としたり、「すうぼう」としていたり。

正しい読みかたがどちらかは、この際関係ない。というより、外国の言葉で、かつ古代であるので正しい音を日本の振り仮名で表現できるわけがない。

ただ著者や訳註者の見解を示すため、あるいは読者の便をはかるため、振り仮名を統一してほしいだけなのだ。

例えば新羅を「しんら」、「しらぎ」「シルラ」「しらき」のどれを振ってもいい。

しかし、せめて同じ本の中では、理由もなくころころと振り仮名を変えないでほしいということなのだ。

ラインナップが素晴らしいだけに、このような瑕は目立つし痛い。

しかし、研究者でもなければ、東洋文庫を頼るしかない本もあるわけで。

何とかならないものか。