映画「渇き」を観た。
期待しすぎたのと、ラストの拍子抜け感で少し残念。
ちょいちょいわからない所もあった。
ネットでネタバレサイトの記事を読んだら、原作では説明されていることを抜かしていたり、設定を変えていたりするところのようだ。
それで納得した。
原作付きの映画はストーリーに疑問を残さないように原作を切り取ってほしい。なんなら設定を変えてもいいのではないか。もちろん観客に疑問を持たせたくてそうしているなら話は別だが。
役所広司の演技がすごいということと、中谷美紀のやっぱり感が安定していた。
原作を読んでみたい気もする。
アンティゴネーを読み終えた。
一応ソポクレス(ソフォクレス)の悲劇三部作を読み終えたことになる。
今回はすべて岩波文庫であったが、全ての作品の訳者が異なる。
オイディプス王は藤沢令夫、コロノスのオイディプスは高津春繁、アンティゴネーは呉茂一が訳している。
上演された年代順も岩波文庫の順番もアンティゴネー、オイディプス王、コロノスのオイディプスである。内容の年代順はオイディプス王、コロノスのオイディプス、アンティゴネーである。
内容はともかく、正直な感想は「読みにくくわかりにくかった」である。
理由は
1、戯曲であり、セリフだけが書かれてある。
2、訳がわかりにくい。
の2つである。
一番新しく出版されたコロノスのオイディプスでさえ初版が1973年であり、私が生まれる前である。現在使っている文章との違和感が大きくなかなかスッと頭に入ってこなかった。また、戯曲であるため演劇のセリフ(音声)では理解しやすくても文章になるとわかりにくくなってしまうのかもしれない。
私は戯曲が苦手なので、いよいよ以てわかりにくかった。
実に三十路の半ばまで名作の多くを読んでこなかったのは、怠惰以外に戯曲だからという理由もある。
しかし、ところどころ解説本やインターネットで調べて補いつつ読んだ。3作品合わせて文庫で300ページ程であったが、読み終えるのに時間がかかったわけだ。
アイスキュロスのテーバイ攻めの七将を読んでみようと思う。
チャレンジ100分de名著からいきなり、ギリシャ悲劇の旅に変更になりそうだ。
また、オイディプスやライオス、クレオンなどがギリシャ神話の登場人物と書かれていると、なにか変な感じがする。それは彼ら自身が神ではないからであろう。
しかし、オイディプスの祖カドモスなどは確かに神話の人物であろう。
余談ついでに、アンティゴネーの注釈にカドモスの龍退治が書かれていた。巨竜の歯から武士が生えてきたところで、マヴァール年代記の竜牙公国(ドルグレイヤ)を想像した。
内容についての感想をひとつだけ、
この悲劇は小さくみればタイトルにもなってるようにオイディプスとアンティゴネーの悲劇だが、少し拡大するとオイディプスの親と子たちにわたる三代の悲劇、大きくみればクレオンとその妃エウリュディケー、息子ハイモンまで含めたテーバイ王家の悲劇である。
各作品ごとにはともかく、三部作通してみると一番可哀想なのって一人残されたクレオンじゃないか?
テーバイ攻めの七将を読んでみないとポリュネイケスとエテオクレス、クレオンの息子メノイケウスについては何とも言えない。予言者テイレシアスもたいがい可哀想だが(笑)