推手

ここ最近、体調がすぐれない。

 

今日は映画「推手」をみた。

映画の全編を貫く嫌な感じ、それは他人のケンカしている場面に居合わせたときの感じだ。まあ、映画の映像そのものズバリだけど。

親子問題、嫁舅問題、家庭内の言語問題、移民問題などなど。

実に様々な問題が内包された映画であった。

途中までの嫌な感じにくらべ、エンディングではまあ良い映画であったと思えた。

単純なハッピーエンドでないこともよい。

しかし、気になる点も多い。

例えば白人嫁が最後まで、個人的には嫌な奴に映った。ましてその友達の不動産屋といったら。

陳さんが、娘たちに朱さんとくっつくように仕組まれたことについて泣き崩れるシーン。何を泣いているのか、正直あまり理解できなかった。いや、勝手にお見合いのようなことをさせられた腹立ちはわかる。が、陳さんは思ったことをズバズバ皮肉たっぷりに言うキャラだ。少なくとも最初は、この皮肉ババアがヒロイン‼?と思ったほどだ。それがお見合いを仕組まれたことくらいで泣くだろうか?など数えればいくつもある。

ストーリーそのものは退屈で、しかしきちんと物語が流れ上述したように、まあ感想は悪くない。

しかし、一番の問題はパッケージなどで、異郷で孤独な老人が推手を通じて心を通わせる、ハートウォ―ミングなあるいは老いらくのラブロマンスな感じを出していることだろう。

たしかにエンディングは老いてからの恋?を予感できなくもない。しかし、その直前にアレックスのセリフで、

「父さんは太極拳をして現実から逃げてた。推手でさえ父にとっては他者を遠ざける手段だ」日本語字幕より

と言わせている。

どう考えてもパッケージやチラシとは違うストーリーなのだ。

まあ、キョンシー殺人事件に比べれば、どうということもないが。

また、みる立場によっても評価がかわるであろう。

細かい設定には、さらに掘り下げればいいのにな、と思えるものが多かった。