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陽成院を読んで

以前に書いた「陽成院」を読んだ。

久々にすがすがしい読書であった。

本の見かけ(ジャケット)の好感が持てる感じはすでに書いた。

内容は陽成院を不当に貶めるでもなく、反対にやたらと持ち上げるでもない。公平に陽成院の姿を書いている。少なくとも書こうとしている。

そこがいい。

譲位後の行動を記した史料の少ないなか、非常に誠実に陽成院と向かい合って書いたことが伝わる。特に陽成院のように悪評まみれの人物は公平に評価するのが難しい。

著者は昭和6年生まれの方で、どうやら和歌の研究から陽成院や清和帝について調べたようだ。

最後の「生涯余生」の稿を読めただけでも充分に、読書の悦びが得られる。

なにより、文章が清潔でよみやすい。

時折はいる著者の私見や想いが、抑えてはいるが熱量を感じられる。もちろん史料から推測できることと、想像とは明確に区別してある。

また、「付 水尾」の稿は、清和帝の墓所、水尾に行ったときのレポートである。清和帝の足跡もスケッチしている。陽成院の本文でも当然触れていたが、清和帝の住処の名が棲霞観であった。

まこと本との出会いは運命を感じる。

あの日、図書館の書棚で目について、思わず手に取ったのも不思議だ。その後、ひと月手に取らずにいて(返却期限についてはひとまず措く)ようやく今日読んだことも不思議だ。そうしたら陽成院について知ることができた。あげくに清和帝の住処が棲霞観とは。

この読了感の晴れやかさは近年まれだった。

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