かぐや姫の物語

ジブリかぐや姫の物語をみた。

なるほど、これは風立ちぬほどではないが、トトロ的なものを求めている層には受けが悪いだろう。

ストーリーは、今更かぐや姫のストーリーもなにもないが、かぐやが都へでて5人の公達、御門の求婚をことわり、ついには月へと帰ってしまう。

御門の求婚を断るところまではつまらなかった。特に御門のエピソードの場違いでつまらないのは何だったのだろう。デザートを食べてる最中に急にサバ味噌を出されたような変な感じであった。

そのあとは面白かったが、どうも小手先の面白さで、結局なぜ月に帰らなければいけないのかが分からなかった。同時になぜ「この地」に流されたのかも分からない。

だから月の使者たちが、仏の姿をしているが、完全な異生物にしかみえない。

わざわざこの地の記憶を消すのも、心をざわめかせないため、だけなのか、他に理由があるのか。

あるいはいわゆる貴人情を知らずなだけなのか。

とにかく肝心なところがわからない以上ストーリーは不完全燃焼な理解にならざるをえない。

そのくせ、変なところは細かく設定されているから困る。

古典物語に現代的解釈と書けば高尚な感じがするが、ジェンダー論以前のフェミニズムばりばりで結婚が男性への隷属と(無意識に)信じているかぐやが気持ち悪かった。

ある意味では古代から連綿と続く女性の悩みであろうが、それを描くなら「かぐや姫」ではないだろう。とりかえばやなり和泉式部は、、、ちと違うが(笑)

とにかく他の作品をモチーフにするべきであろう。

フェミ臭をうすめるつもりか、本来のテーマかわからないが、作品中で

喜びも悲しみも人の情けも、鳥、虫、獣、草木、花、この地にあるものはすべて彩りがある

といっている。また、捨丸となら幸せになれたかもともいっている。

これは愛している人としか結婚しないというメッセージにも取れる。

しかし、であればこそ捨丸に妻子があってはダメだろう。

(そのときに)愛していればいいのだ、という不倫擁護にしか思われなかった。

ただし、ジブリ作品らしく音楽は素晴らしかった。

特に水車(みずぐるま)の歌はよかった。主題歌のいのちの記憶も最高だった。エンドロールなどに使わなければ。月の使者たちの奏でるポップな曲も良かった。

そういえば、エンドロールで声優の一覧をみて、伊集院光立川志の輔の名前が出ていた。

そこで二人の役どころをウィキペディアで調べて、登場チャプターを見直した。

最初は全く気が付かなかったが、確かに伊集院と志の輔の声だ(笑)

もう二人の声にしか聞こえない。