「機動戦士ガンダムUC」を観終わった。DVD7枚。
宇宙世紀ものが好きなら観るべき作品。逆襲のシャアの後の物語。
登場人物にブライト・ノア、カイ・シデン、ベルトーチカがいる。そして成長したミネバがヒロインだ。
ストーリーは、ニュータイプとは?人の未来は?を問いながら、同時に様々な想いや疑問を飲み込みながら連邦、ジオン、ネオジオン残党や各財団・企業の思惑を絡めて戦っていく。そして多くの人の死を通じて人が共感しあい、最終的に人類がよりよい未来をつかむ「可能性」をつぶさないことで物語が終わる。
厳しくいえば、ずっと変わらない。ある意味マンネリズム。
それが悪くはない。むしろファーストから観ている者としては、それこそが魅力の一つである。
とはいえ、物語内の時代がすすんでいるため、かつての若者たちは「大人」になっている。最たるものはブライトだろう。
主人公はバナージとミネバだ。そして副主人公としてリディとマリーダがいる。
メジャーを好きにならない自分は、やはりリディとマリーダに注目・感情移入して観ていた。
リディの挫折・成長の物語として観た。
何をしても自身の能力ではなく、「家」の力であるという、名門出身であるがゆえの無能感。もちろんこれは彼の誤解であるのだが。これを払拭するためにパイロットを志願する。パイロットの技術は「家」の介入する余地がない。
ミネバに対する想いは、まさにミネバによって、砕かれる。また、パイロットとしても恋敵としてもバナージに負け、深く絶望してしまう。もっともバナージ自身はリディになにもしていない。完全にリディの逆恨み。
最後の戦いでマリーダを殺してしまい、マリーダ(の意識というか霊のような存在)によって立ち直り、バナージと協力して戦うようになる。
マリーダにも言われていたが生真面目な性格である。そりゃ絶望したら復讐という名の八つ当たりをするだろうな、と思う。
自分はこういう実直な人物が絶望していく物語が好きだ。
リディと鏡写しの女性としてロニ・ガーベイがいる。彼女も「家」に縛られ、復讐することが人生の目的となり、身動きがとれなくなっていた。ロニに共感したバナージは彼女を撃てないため、リディがバナージから銃を奪いロニを撃った。
本来、境遇的な意味でロニと一番共感できたであろうリディが彼女を撃ったことが何を意味するのか。或いは真の意味で共感できたからこそ撃つしかなかったのか。
マリーダはプル・トゥエルブであり、ZZでラカンに一網打尽にされたプルのクローンの生き残り。
ララア・スンであり、フォウ・ムラサメやジェリドの周りの女性たちである。
観ようによってはチェーン・アギやナナイもそうであろう。
行く道がわからない、またはその道を進みたがらない若者を導く先輩である。
また、ジンネマンとの間の親子愛も泣かせる。
ほかにも魅力的なキャラクターはいるがキリがないのでここで止めておく。
最後にフル・フロンタルの周りでララアとシャアが会話する。そして最後にアムロが二人に対して「もういいのか」と確認し、三つの光が宇宙の彼方へ消えていく。
もうこれだけで観る価値があるというもの。
また、生者としてではないためか、エンドロールでは役名なしの、古谷徹、潘恵子のみのクレジット。心が震えた。欲をいえばそこに池田秀一も加えて欲しかった。フル・フロンタルとは別に。
漫画「虹に乗れなかった男」を読んでから観ようと思い、みてよかった。
まだ理窟をこねたいが、まずはここで擱いておく。